リーダーシップ

管理職は管理するのが仕事ではありません

とある会社のリーダー向け研修を行いました。1日目はサブリーダー向け、2日目は管理職向け。午前午後で2回ずつ80人近くの方に受講いただきました。リーダーの心に火をつける。講師をやっていて燃えるテーマです。

研修に入る前に部門トップとお会いしました。「良い事業所という報告が上がってくる。これは生ぬるくて誰も何も言わないからだと思う」「情報共有ができていない」「働き方改革で残業するなは事業運営にかかわる」「今、当社で抱える課題はこういうことです。ご認識いただけましたか?」などなど。上意下達の一方通行的な言い方が気になりました。

「では研修に先立ち、○○よりご挨拶いただきます」研修の冒頭、トップが挨拶をします。両手を演壇について高圧的に話す姿。まるで政治家の演説のようです。受講者をみると、誰一人トップの方を見ている人はいません。何やら手元にメモしている人はいますが、ジェスチャーにしか見えませんでした。

「管理職は部下を管理するのが仕事。数字と業務進捗、コンプライアンスがきちんとできているかが重要。インシデントを認識すること・・・昨今それが薄れている。役付きとしてしっかり認識してほしい・・・」こんな内容でした。カタカナ用語が出てくるのは単なる頭でっかち。役付きという表現も鼻につきました。さらに4回とも話す内容が変わっていました。この人の軸はどこにあるのだろう?という感じです。ちなみにこのトップは4回やった研修をさわりも含めて一度も聴くことはありませんでした。

自分の職権を使って部下に命令する。部下を自分が動かせるコマの一つにしか思っていない。こんな上司が未だいることが情けなかった。彼がサラリーマンを終えたとき、自分自身の力のなさを痛感する日が来るでしょう。その時に後悔しても遅いんですけどね。

管理職は部下を管理するのが仕事ではありません。そもそも心を持った人間を「管理」しようという考え自体に大きな間違いがあります。管理したってお互いにたのしいことなんてこれぽっちもありません。リーダーは部下のことを知り、一人ひとりの力が発揮できる環境をつくることが仕事です。

裸の王様にならないようにしよう