潮流

時代のながれだけで解決できないもの

昔からある商売が消えていく。時代のながれだからしょうがないよね・・・こんな事例ってありますよね?でも本当にそれだけいいのでしょうか?やむを得ない事情は別にして根底にある大切なものを忘れないでいたい。今回はそんなお話です。

近所のショッピングセンターの中に入っていた地域家電店が完全閉店しました。店舗が入っているのはビルの3階。数ヶ月ぶりに前を通ると板の壁で閉じられ、告知ポスターが貼ってありました。昭和62年から35年間、このショッピンセンターができて以来のテナントではないかと思います。おそらく何代目かの店主による文面。文字の裏側に一抹のさみしさを感じます。

そこそこの立地、テナント料もそれなりだったでしょう。経営的にきびしくなったと想像します。家電はアイリスオーヤマといった専門外のメーカーが安くて高性能なものを扱うようにもなりました。今までの路線でやっていた人たちは一筋縄では乗り切っていけない状況です。物販だけではない工夫を入れて行かなければ太刀打ちできません。

僕はサラリーマン時代、こうした町の電器屋さんの活性化の仕事をしていました。といっても今回のでんきのこだまほど大きな規模ではなく、店主と奥さん二人でやっているようなパパママ店が大半でした。この先将来はないからとやる気を失っている店が多い中にあって、何とか生き残っていきたいという店もありました。

当時目の前まで来ている高齢化社会へ向け、小難しい家電を上手に使ってもらうには、こうした人たちのサポートが必須になる。そう信じて何とか形にしようと悪戦苦闘しました。その後、事件をやらかしてサラリーマン失格、志半ばで途絶えてしまいました。今でもやり方次第でいけるのではないかと思っています。

日本はモノやサービスに恵まれた国です。次から次へ新しいものが生まれてきます。いっときのことで盛り上がり消えていく。そんなことを繰り返しています。目先のことばかりに目を奪われていると大切なものを見失います。

商売は人と人とのつながりです。今も昔も変わりません。あたたかい心の通い合い。見た目は変わっても根底に流れるものを見つめていくことを忘れないでいきたいもの。そこにこそ「ずっと続くシゴト」の本質があります。

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