気づき

自分の力で生きる「自活」ということ

年末年始で岡山の母親のところへ行ってきました。86歳の高齢ですが何とか一人暮らしで毎日を送っています。なかなか会う機会がないのですが、近くに弟がいてサポートしてくれているので甘えています。

「身の回りのことが少しずつできなくなっている。そろそろ施設に入ることを考えないといけない。ついては今後の相談をしたい」今回行ったのは弟からの連絡がきっかけでした。

まず着くなり母親から今の状態の話を聴きました。デイサービスには行きたくないけど、頑張って行っている。だんだん思うように身体が動かなくなった。ここ半年でかなり変わった。みんなに心配かけないよう自分でできることはしている・・・こんな感じでした。

一方、日々面倒をみている弟は、一人暮らしは限界に来ていると言います。自分としても仕事をしながらサポートするのに物理的な難しさが出ているのが背景にあるようです。

「食事の栄養バランスもあるので、配食サービスも取り入れた方がいい」弟が言いました。「こうして自分のご飯を作ることで少しは頭を使っているんだよ」と母親。「自分でやりたいという気持ちがあることはやれるようにしてあげようよ」と言いました。

近い将来、施設に入ることになるでしょう。でも今、こうして自らやろうと意思を示していることは大事にしてあげたい。やろうという気持ちがあるのに、無理やりやらない方向へもっていくのは反対。そこは強く伝えました。

介護が大きな社会問題になっています。医療が発達して薬も進歩したから寿命が伸びているのでしょう。もちろんそのこと自体素晴らしいことです。でも一方で、便利で行き届き過ぎた環境は人間がもつ本来の力を退化させるのではないか?ひと昔前は介護なんて言葉はありませんでした。みんな自活する力を持っていたからだと思います。

母親の「自分でやりたい」という気持ちこそ、人がもつ自分で生きようとする力なのではないか?年老いた親の背中に学びました。

自分で生きる力を身につけよう