ご当地紹介

原料供給基地から今につながる釧路

12月に入って釧路へ。今回は2日連続講演ということでめずらしく二泊三日の滞在になりました。もっと寒いかと覚悟していきました。滞在期間は晴れておだやかな日を過ごすことができました。

宿泊したホテルから歩いて数分のところに幣舞橋があります。橋の上から眺める海は格別。後できいたのですが世界三大夕日が見られる場所なんだそうです。夕日の時間はちょうどセミナー登壇中だったので見逃してしまいましたが、日が落ちた後でもこんなにきれいな景色を目にすることができました。

お昼は「竹老園」でごちそうになりました。昭和天皇や皇族が訪れたこともある歴史のある名店。かしわぬき、蘭切りそば、茶そば、そば寿司の4品が次々出てくるコース。なかでもそばを海苔巻きにしたそば寿司は酢のバランスが絶品でした。

講演が終わった後の担当者さんとの雑談。「ホンモノのししゃもを食べたことがありますか?」「えっ?」「そちらのやつって脂っぽくないですか?」「たしかに」「カペリンという魚でホンモノではないんです」びっくりでした。北海道の太平洋岸の一部の地域でしか水揚げされない「本ししゃも」。川を遡上します。鵡川(むかわ)のししゃもが有名です。

北海道の3大回転ずしと言えば、「トリトン」「根室花まる」「なごやか亭」。なごやか亭は釧路創業です。穫れたものを大量に本州に流すというのがもっぱらメイン、まさに原料供給基地、最近になって加工食品をやり始めた・・・とかとか魚の話になったら次から次へ出てきて止まる気配がありません。興味深い話でずっと聞いていたい感じでした。

最近は気候変動の煽りかブリが穫れるようになりました。でも最初はどうやって食べるかがわからず、カマを焼いて食べるなんて想像もできず、スーパーでは本州から来た人だけが買っていたそうです。「本州に行くと小さい魚を開いて食べているのをみてびっくりしました」との話。魚はそのまま焼いて食べるもの。とれる魚で文化が変わるのですね。

釧路駅前にある「和商市場」は新鮮な魚介・水産加工物・乾物・肉・野菜など釧路市民の台所。市場の名物「勝手丼」。市場内の惣菜屋さんで白いご飯を買います。そこに海鮮・魚卵専門店で食材を買ってトッピングしていきます。お気に入りの具材を乗っけたオリジナル海鮮丼が完成します。北匠さんと高橋商店さんがおすすめ。帰り道、担当者さんがわざわざ市場に連れていっていただきました。おかげさまで本場のししゃも、たらこ、ほっけ、こまいをチョイス。自宅で舌鼓を打ちました。

日本で一ヶ所だけ坑内に入っていく炭鉱が残っていたり。地元にある大企業、日本製紙は100年企業だったり。家族で出かけたら必ず食べるレストラン泉屋のスパカツ・・・。まだまだ知らない釧路に名残惜しさを感じつつ帰路に着きました。(2020.12.10取材)